皆様こんにちは!
新年度が始まり、ウルトラキッチンではあたらしい仲間を迎えました。
「自分の描く夢のため」「食が好きだから」「パンが好きだから」「ウルトラキッチンが好きだから」
いろいろな理由をもって入社してくれた心強い仲間とともに、
一層ウルトラキッチンは愚直に食の課題に取り組んでいきます!
今回の「素材のはなし」は、国産小麦。
弊社代表、杉窪の著書「365日」の考えるパンの内容も盛り込みながら
代表の杉窪にインタビューを行いました。
(杉窪の著書「365日」の考えるパン)
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ブログ「素材のはなし」では、
ウルトラキッチンで扱う素晴らしい素材をご紹介しています。
このブログを通して、
農家さんのこと、そしてどんな思いでウルトラキッチンがその素材を扱っているのか、
少しでも知っていただけるとうれしいです。
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Q 365日、ジュウニブン ベーカリーともに国産の小麦粉を使用していますが、
それはなぜか、改めて教えてください。
一番の理由は味と香りがいいからだね。
国産小麦は、味や香りの個性があって、そういう小麦粉を使ってパンを作りたいと思ったんだよね。
二番目の理由はポストハーベスト(収穫後の農薬使用)の心配がなく、安心安全だから。
外国産の小麦を使用しているベーカリーには、小麦アレルギーの子がいるけど、うちには小麦アレルギーの子はほとんどいないと思うよ。
三番目の理由は、国産ならば、だれがつくってくれた小麦なのかが分かって安心だからだね。
Q 国産小麦の特徴をダイレクトに味わえるのは、365日の商品だとソンプルサンでしょうか?
そうだね。
国産小麦を使うきっかけになったのは、「キタノカオリ」という品種。
「キタノカオリ」の特徴は、色は黄色、乳製品のような甘い香りと、モチモチの食感。
それを活かすために作ったのが、ソンプルサン。
「キタノカオリ」のモチモチ感を存分に発揮するために、水の割合を高くしたんだ。
Q 365日のパンだと、「小麦の味」の違いが分かりやすいのは何ですか?
ぜひ食ぱんを食べ比べて欲しいな。
「北海道×食ぱん」
「福岡×食ぱん」
「365日×食ぱん」
の3つを食べ比べてもらったら小麦の味の違いが分かりやすいよ。
Q それぞれの特徴を教えてください。
北海道産小麦粉、バター、牛乳を使って、リッチにしているのが、「北海道×食ぱん」
ベーカーズパーセントでバターを25%配合しているのだけど、通常だとバターは、入っていても大体6%くらい。
25%というのは相当多いんだよね、こんなにバターを配合しているから何もつけなくても美味しい・焼かなくても美味しいリッチな食ぱんになっているよ。
「福岡×食ぱん」は、甘さも控えめで飽きずに食べられるハードトースト※
小麦の香りはあるけれど、味がそんなについていないから、
バリっと焼いてジャム・バターをつけて食べる食ぱん。
例えると、白いご飯だね、炊き込みご飯じゃなくて白いご飯。
「福岡×食ぱん」の特徴はベーカーズパーセントで生クリームを20%配合しているところ。
これは普通では考えられない量。
液体油脂はそのまま生地にいれると発酵しにくくなり、
ふくらみにくく、中が詰まってしまうからたくさん入れることが難しいとされている。
365日は、泡立てて入れることで高配合が可能になっているんだよね。
バターより生クリームのほうが含まれる水分が多いので焼き上がりが軽くなっている。
※ハードトースト:少し粗めの気泡が特徴。トーストするとザックザクの食感になる。
「365日×食ぱん」は北海道産小麦粉と福岡産小麦粉を半々でブレンド、両方の良いところをあわせたスタンダードな角食ぱん。
ちなみに、365日の食ぱんは耳が薄くて、耳が嫌いという人にも食べられるようになっているよ。
サイズが小さいのも特徴だけど、それで耳の部分(クラスト)が厚いと、
なかの白い部分(クラム)とのバランスが悪くなるため薄く仕上げている。
(「北海道×食ぱん」北海道産小麦粉、バター、牛乳で作ったリッチでほんのり甘い山型食パン)
(「福岡×食ぱん」福岡県産小麦粉と生クリームで作る山型のハードトースト※)
(「365日×食ぱん」北海道産小麦粉と福岡産小麦粉を半々でブレンド、両方の良いところをあわせたスタンダードな角食ぱん)
Q 北海道×食ぱんは牛乳、福岡×食ぱんは生クリーム、365日×食ぱんは水で仕込んでいますが
365日×食ぱんに水を使っている理由はありますか??
まず一つ言えるのは、食ぱんの中でもバリエーションをもたせたくて、あえて水にした。
実は365日は、使う水にもこだわっているんだよね。
北海道にある協働学舎の水がおいしくて、それを真似た水を使っている。
二足歩行coffee roastersで使っているような、ミネラル等も除去するろ過装置だと、実はパンがおいしく焼けない。
パンを美味しく焼くための水をろ過装置で作って、それを使っているんだ。
そんなパン屋さんはなかなかないんじゃないかな。
そういうところにもこだわっているというのをも知ってもらいたいね。
Q ジュウニブン ベーカリーではどうでしょうか?
ジュウニブンベーカリーは小麦の違いというより「製法の違い」を楽しんでほしい。
それぞれ異なる小麦を使っているのだけど、製造方法に特徴が出ているからそれを楽しんでほしい。
ジュウニブンベーカリーの食パンのラインナップは、
「ジュウニブン食パン」「シカク食パン」「バターリッチ食パン」なのだけど、
それぞれに全く違う特徴がある。
まず「ジュウニブン食パン」
このジュウニブンは加水率が120%という意味。
120%の水を入れる食パンは他ではなかなかないよね。
「シカク食パン」は、ストレート法※で作っているパン。
しっかりとグルテンを使う・しっかりパンチをする作り方だから、食感がしっかりある。
薄く切ってサンドイッチにしても美味しいし、そのままトーストしてもいい、王道の食パン。
※ストレート法:全ての材料を混ぜ合わせ生地を作り、発酵・焼成まで行う製法
「バターリッチ食パン」はジュウニブンベーカリーの代名詞ともいえる、くちどけ系。
バターがたっぷり配合されているから甘く、リッチな味わいになっている。
365日は、オリジナルで考えた、日本のパンで、
ジュウニブンベーカリーはグローバルスタンダードなパンのラインナップになっているよ。
(右からジュウニブン食パン・シカク食パン・バターリッチ食パン)
Q 国産小麦は大きく4色(白色・黄色・グレー・茶色)に分類分けできると著書にも書いてありますが、その特徴をあらためて教えてください。
「白色」は、いわゆる無味無臭。外国産の小麦を使った小麦粉に多いタイプ。
「黄色」は乳製品の香りがして甘い。
「グレー」はフスマとか外皮の混ざった色でうまみと穀物臭が特徴。
「茶色」は全粒粉もそうですが、黄色とグレーの要素が合わさった感じで、うまみとコク、甘みがある。
Q 色の違いは、「365日と日本橋」限定で販売しているディンケルとキタノカオリもわかりやすいですよね。
ディンケルとキタノカオリに関しては、色の違いというよりは生産者さんによる違いが分かりやすいパンになっているよね。
国産小麦を使う三番目の理由にある、だれがつくってくれた小麦なのかがわかるから、というのに関連している。
ディンケルは、滋賀県で小麦を栽培している広瀬さんのディンケル小麦を使っていて、
キタノカオリは北海道産の前田さんが作った小麦を使って作っているよ。
いつか農家さんの紹介もしてほしいね。
Q そうですね。頑張ります!
パンでは国産小麦を使う理由や、特徴を紹介して来ましたが、
ウルトラキッチンではお菓子にも国産小麦の「ファリーヌ」を使用していますよね。
お菓子に国産小麦を使うのは珍しいように思うのですが、ここにも理由がありますか?
お菓子作りには細かい小麦が適していて、
それこそジェノワーズ(スポンジ生地)なんて、細かい小麦を使う方がふわふわに仕上がるんだよね。
実際、ファリーヌよりも細かい小麦粉は外国産ならあるんだけど、うちは
食べる人も、作る人も、安心して食べてもらうために、国産小麦のファリーヌを使っているよ。
国産小麦で一番細かい薄力粉が今のところ「ファリーヌ」なんだけど、
もっと細かくしてほしいというのは伝え続けていて、情報が入ってくるようにしてある。
ウルトラキッチンでは、フルーツも国産のものを使って、
生産者にとっても、パティシエにとっても消費者にとっても
安心安全なお菓子を作っていこうとしているところだよ。
これは持論だけど、グルテンが世間では悪者になっているけど、
やっぱりポストハーベストが悪かったんじゃないかなって思っているんだよね。
産地品種ともに種類豊富な国産小麦。
この魅力を365日・ジュウニブン ベーカリーのパンやお菓子を通して楽しんでいただければと思います!
お付き合いいただきありがとうございました!